楽しみにしていたイキウメ。
グレー一色の舞台。
居間、診察室、病室、ファミレス。
客の想像力にまかせ、
瞬時に場面が移り変わる演出が素晴らしく。
宇宙人が概念を奪うお話。
人間にとっての概念の価値、愛の大切さを
語る話。と思った。
けど。
観終わって時間が経ってから、ある言葉がふと浮かぶ。
「愛は惜しみなく与う」
侵略者たちが「奪う」ことのできなかった概念、愛。
シンジはナルミからそれを得る。
それはつまり
愛という概念を奪うことはできない。
なぜなら、
愛は「与える」ことによって完璧なカタチの概念になるのだから。
そう思えてきた。
最後のウラベの問いかけ、
どの概念を奪えば戦争はなくなるのか。
その答えも、
奪うのではなく、与えることにあるのではないだろうか。
愛を得たシンジの予想しなかった副作用として、
「与える」能力を身に着けていてほしい。
ラストのシンジの微笑みは、
それを意味するものであってほしい。
愛は惜しみなく与える
さて誰の言葉だっけと調べると、トルストイだった。
そしてこんなものもひっかっかる。
惜みなく愛は奪う 有島武郎
冒頭と、終わりの方を少し読む。
これって、このお芝居の根源なのでは?
与える愛と、奪う愛。
この奥深い二つの思想を、さらりとSF化する前川知大氏。
すごいなあと思うのです。