イムズホール。なにもない舞台。
席に着き、開演数分前、ふと顔をあげると
リネンのワンピースと赤い靴の女子たち8人。
彼女たちがひとりのあゆみとあゆみのまわりのひとを演じる。
16本の足のはじめのいっぽからさいごのいっぽまで。
台詞は言葉になり音になりリズムになっていく。
なんでもない、ふつうの、女の子の一生。
だからそこには飛びぬけたエピソードもドラマもない。
だけどそこには自分も感じた記憶のある喜びやどきどきや悲しみがあふれてる。
いつのまにか泣いてました。
あまりにもせつなくて愛おしくて。
女の子はやがておばあちゃんになり、
(たぶん)彼女の中でやりなおしたかったふたつの記憶をやりなおす。
どちらも、伝えられなくて後悔していた、伝えたかった言葉を伝える。
伝えるけど、あゆみのあゆみは変わらない。
来た道も、行く道も変わらない。
変わったのは伝えたというきもち。
そしてさいごのいっぽを迎える。
ままごとは去年の「わが星」でも泣いた。
ここちよいリズムに包まれた
日常のことばに潜む愛おしさと切なさ。
いま一番すきな劇団かもしれない。